株式会社コトリボイスは令和6年8月31日を以て営業を終了し、解散致します。創業より十年の永きに渡り、皆さまには大変お世話になりました。

解散のお知らせ

株式会社コトリボイスは令和6年8月31日を以て営業を終了し、解散致します。創業より十年の永きに渡り、皆さまには大変お世話になりました。

不渡りや債務超過があったわけではありません。キャッシュに余裕のある状況での解散です。お仕事をお願いし、ご請求書を頂いた方には、間違いなく対価をお支払い致しますのでご安心ください。

法人自体は来年の夏頃まで存続し、残された業務の整理にあたります。何かございましたらば、引き続き代表の子吉もしくは”info(アットマーク)kotori-voice.jp”までご連絡をいただければ幸いです。

七月末時点で弊社と契約していた声優の移籍先は以下の通りです。

中川亜紀子 mitt management様
夏樹リオ アプトプロ様
水桐けいと ラブトラックス様
夏代めぐみ クロコダイル様
根岸耀太朗 クロコダイル様
笹島かほる INSPIONエージェンシー様(業務提携)

何かご用命がありましたらば、各事務所様へお問い合わせください。上記に記述のない者についてはフリーとなります。各個人もしくは私までお問い合わせをいただければ幸いです。

また、仙川の録音スタジオは株式会社オトバンク様に移譲致しました。”スタジオ オトバンク”の先兵として、これからも新しい音声コンテンツを生み出してゆくことになるでしょう。どうぞご期待ください。

“スタジオ オトバンク”について
https://www.otobank.co.jp/news/579fFzqy

音響制作のご相談、ご依頼はこちらまで
https://tayori.com/form/1e4ffd8ab1cc17dee07ad08a56cca59c7d6b4fcc

さて、株式会社コトリボイスの各事業や経営について所感を述べたいと思います。ご興味のある方はご覧ください。

①声優プロダクション事業について

祖業ではなく、また売上の中心でもありませんでした。しかし株式会社コトリボイスは、声優の活動をバックアップする会社、声優プロダクションを目指しスタートしました。一番大切な事業です。

声優プロダクションとして、フラットな人間関係を重視してきました。創業当時には昨今ほどパワハラが問題視されておらず、所属する事務所と声優、また声優間の間に強い力関係があることは当然とされていました。その状況に一石を投ずべく、努力を続けてきました。弊社と所縁のあった皆さんが、この習慣を受け継いでくれることを願います。

また、養成所やワークショップの経営には手を出さないと決めていました。出演料による売上ではなく声優志望者から徴収するお金で事業を支える風潮が業界にはあり、それに挑戦したかったからです。最後まで貫きましたが、やはり声優プロダクション事業単体で十分な利益を得ることは困難でした。しかし、この挑戦に悔いはありません。

②音声制作事業について

「声優」という産業は情報が十分に公開されておらず、ゲームや動画作品に音声を入れたくても、どこに相談したらよいのか分かりません。その上アマチュアや個人制作の場合は、門前払いされるケースも多かったようです。

コトリボイスでは、こうしたクリエイターの皆さんを支援することに取り組んできました。インディーゲーム、インディーアニメ、個人や小規模なチームでの作品のためにキャスティングや収録を手伝いました。

その後、コロナ禍では宅録も一般化し、ネット上で簡単に依頼できる業者も増えました。10年前に比べると、随分とハードルは下がったと思います。弊社がお手伝いしたインディー作品を見て、音声を入れてみようと思われた方もいらっしゃるでしょう。このミッションでは、一定の役割を果たせたと思います。

③企業として

完全フレックス、在宅勤務、各種休暇制度、保育料補助や短時間正社員制度を導入し、多様なライフスタイルの方が働き易い会社を目指してきました。採用では未経験者を選び、これまでの慣習に捉われない企業文化を目指しました。業界水準を上回る待遇は実現できましたが、他業種を含めた国内一般の給与水準には及びませんでした。近年の賃上げの潮流に乗ることも出来ませんでした。力及ばず、無念です。

声優プロダクション事業、音響制作事業はいずれも、お客様から頂いたご依頼に対応します。競争が厳しく値下げ圧力が強い状況で、これらの受託事業頼みになってしまったことが経営上の敗因です。自らコンテンツを制作・運営する事業の構想も進めましたが、残念ながら開花するには至りませんでした。

会社とは、起こすことは容易いが、閉じることは難しいものと心得ています。確かに私が知る限りでも、会社が無くなる=倒産は多くの混乱や恨みの源泉になってきたようです。弊社の解散はちょうど一年前から検討に入り、半年前にあたる二月の末には決断、社員を始め関係者の方々への説明、業務の引継ぎに時間を割いてきました。決して余裕があったとは言えませんが、最低限の務めは果たせたかと思います。

これからは愛娘との時間を大切にし、また別の形で社会に貢献する仕事をしたいと思います。本当にこの十年余の間、お世話になりました。皆さまお元気で。また会いましょう。

令和六年九月二日
株式会社コトリボイス
代表取締役 子吉信成